顧客満足度からみるオフィスビルのテナントリレーションに関する研究

摘要

今までの日本のビル経営は「所有=経営」といった形が一般的であつたが、近年「所有と経営の分離」の考え方にもとづいたプロパティマネジメント（以下PM）によるフィービジネスに注目が集まっている。PMの業務内容といえば、物件の価値の最大化であるが、日本ではキヤピタルゲインの最大化のみを目標にしているケースが見受けられ、資産価値向上に寄与しない経済活動になっているのではないか、との危惧も指摘されている。売却を視野に入れた総合利益に注目することは必要であるが、本質的な資産価値の最大化には継続的な利益の増加が必要であり、そのためには優良テナントの長期確保が必要である。テナントからの賃料収入を主軸に運営することこそビル経営の重要な視点であると考えている。本研究では、テナントリレーションこそPM本来の業務であるとの認識に基づいて、オフィスビルのテナントに対するアンケート調査によってテナントのニーズを抽出し、良好なテナントリレーション構築のために必要な要因を考察した。