町の形成における手工業の影響: 明治後期の長野県中野市六軒町の竹細工業を事例として

摘要

本研究では、養蚕を背景に隆盛した手工業である竹細工業を基軸として、明治後期から昭和初期にかけて形成された長野県中野市六軒町を例に、町の形成過程における竹細工業の影響を明らかにすることを目的としている。研究方法として、郷土史•古地図•絵図をもとに、中世から現在までにダリッド状に形成された街区を持つ長野県中野市の都市構造の変遷と町並みの形成過程を分析する中で、特に手工業者が多く居住する地域として形成された六軒町の32軒の住宅において実測調査•聞き取りを行い、竹細工業を通じこの町の形成と周辺農村との関係の変化を追った。