古社寺保存法時代における特別保護建造物の設計変更:豊楽寺薬師堂と竹林寺本堂

摘要

古社寺保存会に諮詢された変更は，屋根の葺材と形式 が多く，移築は慎重に審議されていた。設計変更は「確 固タル証蹟ニ依リ改修」が該当すると推察され，諮詢さ れていなかった変更も明らかになり，それは追加補助が 不用であったことが一因と考えられる。設計変更以外の 変更と維持修理があり，当初形式に後世の形式が複合す ることになった。竣工後の特別保護建造物の当初形式の 解明は修理の内容を維持修理，設計変更，それ以外の変 更の３つに区分して資料を集成することが必要になる。