ガラスファサードに適用されるBIPV の熱性能評価その2 Low-E 複層ガラス単結晶シリコンモジュールにおける断熱性能と日射熱取得率

摘要

本研究は，ガラスファサードに適用される建材一体型 太陽光発電（BIPV1)：Building Integrated Photovoltaic）の熱 性能に着眼している．建築外皮では，省エネルギー基準 （経産省国交省告示7 号）にて，地域別，建物用途別に 熱性能をPAL*で評価することになっている．PAL*の算定 に当っては，断熱性能（U 値）や日射熱取得率（G 値）が 必要であるため，PV モジュールの熱性能を把握できれば BIPV の適用容易性が増すはずである．既報2)では単結晶 シリコンにおいて，透明ガラスとPV モジュールとの標準 化熱貫流率の差は，当初予測していた通りほとhど生じ ず，開口率やセル間距離の違いにも依存しないことを明 らかにしている．また，日射熱取得率についてもPV モジ ュールは，透明ガラスと比べて合わせガラスで1.60～2.04 倍，複層ガラスで2.13～2.94 倍と格段に向上し，さらに， 発電の有無による違いでも，近赤外線の消費により合わ せガラスで2～7％，複層ガラスで6～12％も向上するこ とが報告されている2)．そこで，本報では，使用頻度が増 してきているLow-E ガラスに対する熱性能を把握する目 的で同様の試験を実施した．試験にあたっては，PV セル の種類として結晶系シリコン，薄膜系，その他（有機薄 膜，色素増感，ペロブスカイト）等があるが，本報では 採用実績の多い単結晶シリコンを対象とした．その試験 結果の一部を本報で報告する．