細胞シート⼯学を⽤いた管状⼼筋組織作製のための細胞シート積層技術の開発

摘要

重症心疾患患者への最終的な治療方法は心臓移植のみであるが, 心臓移植はその性質上治療までの待機年数が長いという問題を抱えている. そのため新たな治療法の確立が求められており, 再生医療工学[1]が注目されている. 今回再生医療工学の中でも特に細胞シート工学[2]に着目した. 細胞シート工学とは, 温度応答性培養皿を使用することで細胞をシート状に回収し, それらを積層することで三次元組織を作製する技術である. そこで我々は細胞シート工学を用いてポンプ機能を有した置換型の管状心筋組織を作製し[3,4,5], 重症心疾患患者に対する新たな治療法の確立を目指している. しかし細胞シート工学を用いて生体外で三次元組織を作製する際, 組織への栄養素や酸素の拡散限界により3層以上の組織を作製できない. そのため厚い組織を作製するには, 組織内に血管網を付与することが必要不可欠である.