電磁界シミュレータ利用に先立つ基礎学習について

摘要

同じ電子情報通信分野の専門を学ぶにしても，各大学の専門科目名は必ずしも同一ではない．例えば，電磁波を取り扱う科目名としては，「電磁波工学」，「マイクロ波工学」，「アンテナ工学」など様々な名称があるが，その内容はまちまちであり，学習時間数の制約のため，単一の科目で複数の内容を学ぶことも少なくない．これは，専門の多様化，細分化によるところが大きいが，結果として電磁気学，電気回路などの電気電子分野の基礎内容と，マクスウェルの方程式に基づく電磁波の扱いに関する体系的な理解が十分でない学生が見受けられる．そのような学生が技術者になった際，あるいは全く異なる分野のバックグラウンドを有する学生が，電子情報通信分野の技術者となり，シミュレータを使うこととなった際，どのような科目を学習すべきか，ということについては十分に意見交換がなされていないのではなかろうか．この要因としては，研究開発内容により，シミュレータの利用方法が異なること，さらにはシミュレータ自身が発展し，要求される知識も多様化していることが挙げられる．