液中秤量装置を用いた海水密度の精密測定方法の検討

摘要

海洋は大気の約1000倍の熱容量を有している．この熱容量の違いから海洋の温度変化は長期にわたるものである．地球温暖化のように時間スケールの大きいものはこの海洋の変化を無視できない．このように，地球温暖化メカニズムを把握するうえで海洋の運動というのは重要になってくる．深層海流を含む海洋の運動を解明するためには海水の密度が重要となる[1]．2010年に更新された熱力学状態方程式（TEOS-10）があるが，密度の要求精度が0.001g/kg(1 ppm)であるのに対して，TEOS-10[2]は構成に使用されたデータが古いことや使用される絶対塩分の差が海域によって大きく，不確かさが0.005 g/kg(5 ppm)とされている．そこで海水密度の絶対測定を行うべく産業技術総合研究所で液中秤量装置が開発された．しかし，測定時に海水特有の現象が確認されている[1]．そこで，著者らは液中秤量装置を用いた海水密度の精密測定方法の検討を行った．