臨床心理学的方法を用いた機能不全家族の住宅事例分析: 家族構成、住宅平面形式、生活空間、家族関係の特徴について

摘要

我が国の家族形態は、今日、晩婚化や少子高齢化の進展、標準世帯の減少と母子父子家族の増加、単独世帯や高齢者世帯の増加、パラサイトシングルやDINKSの出現等、多様化する傾向にある。多様化する家族形態に対して、これまで住宅設計に関わる一部の建築家等を中心にユーザとの対話をベースにした先進的な計画・設計提案がなされているが、今後より一層多様化する家族形態に対して、個別解としての住宅空間計画と供給のあり方が求められていると考えられる。そのためには家族のライフスタイルや家族関係を詳細に把握し将来的な変化を見据えることが重要となるが、一方、家族構成員の生活行動や住意識等を捉えることは一般に困難であり、ユーザーの心と対話する新たな手法を考案することが必要である。。