オシオス･ルカス修道院聖堂におけるキリスト教絵画による空間構成: ルカスの墓と絵画との関係に着目して

摘要

本稿の目的はオシオス･ルカス修道院聖堂における空間構成の特徴をルカスの墓と絵画に着目して明らかにすることである。ビザンティン聖堂建築では建築と絵画が不可分の関係にあって、絵画の主題とその配置、個々の図像も含めその全てが空間を構成する重要な要素である。モザイクやフレスコは単純な装飾ではなく、各部位のオーダー、高さや奥行きの物理量などと同様に空間設計上の意図を持って計画されている。ビザンティン聖堂建築の空間構成を分析するためには、建築だけでなくそこに描かれた絵画を含めて検討する必要がある。