Le Corbusier 研究 “ロンシャンの丘” における設計思想と「精神性を宿す建築」 :《ロンシャンの礼拝堂》の語り人 ジャン- フランソワ・マテ氏へのインタビューを通して

摘要

ル・コルビュジエは生涯で11 件の宗教建築に携わった。初期の2 件において宗教関係者からの反発を受け計画が頓挫したことから、教会建築に対して諦めの気持ちを抱いていた。その後1945 年に、「今、精神性を宿す建築に大きく惹かれています。やはり死ぬまでに、厳密な有用性以外のものも創り出したいと思うのです。」(*1) と述べた後、1950 年〜1955 年にかけて《ロンシャンの礼拝堂》を完成させた。この作品はル・コルビュジエが初めて完成させた宗教建築であり、彼自身が「今までにつくられてきたなかでも最も革命的な建築作品」(*2) と語った。《ロンシャンの礼拝堂》の設計依頼を一度は断ったル・コルビュジエが依頼を引き受けることとなった背景と設計思想を明らかにすることを目的とする。