バーナード・バイフート作品研究　ルーイェン邸における建築形態特徴に関する考察とガラスブロックを用いた作品の展開

摘要

バーナード・バイフート(Bernard Bijvoet ,1889-1979) は1916年から1979 年にかけてオランダを中心に活動した建築家である。彼の作品には、近代建築の傑作として知られている「ゾンネストラール・サナトリウム(Zonnestraal Sanatrium ,1926-31)」や「ガラスの家(Maison de verre ,1928-1932)」等があるが、前者はヨハネス・ダウカー(Johannes Duiker ,1890-1935)、後者はピエール・シャロー(Pierre Shareau ,1883-1950) の作品として論じられることが多い1)2)。また、バイフートは、他にも様々な建築家との協働により設計を行っているが、こうした協働体制が結果としてバイフート個人の貢献を不明瞭にしてきたといえる。しかし、上述した2 作品について、ヤン・モレマはそれぞれコンクリートと鉄の骨組構造により大開口を実現している点を指摘し、両作品の構造的共通点はバイフートがもたらしたことを論じるなど3)、オランダ近代建築を考える上でバイフートが重要な建築家であることは示唆されている。そこで、本研究では、近代建築史上、著名な建築作品に設計者として数多く関与しながら、これまで十分な研究が行われてこなかった4) バイフートの建築作品に焦点を当てた形態分析を行い、彼の設計手法の一端を明らかにすることを目的とする。