坂井市旧三国町における三国祭の際の空地活用可能性に関する社会実験 観光まちづくりにおける三国祭の活用に関する考察　その３

摘要

今回の調査は、三国祭に際して町家の敷地形状を有する空地をイベントスペースとして活用し、来場者の空間利用方法について実態調査を行うことにより、活用可能性への示唆を得ることを目的とした。　空間利用の全体的な傾向から、細長い敷地は門やガーランドといった装飾との相乗効果で来場者の興味を引くが、目的なしに細長い敷地の奥までが利用されることはないことがわかった。また、個々のクラスター的な空間利用のうち、予想外であった利用形態を通して、小児の休憩所といった、利用者の需要がありこの空間が寄与可能な活用方法が示唆された。　他方で、課題のひとつに運営面を挙げることができる。今回のイベントは大学が社会実験として参画したが、委託元である一般社団法人三国會所など、地域の有力な団体は三国祭の当日は多忙で運営ができない。しかし今後にイベント等での住民の自主的な運営や、周辺との一体的なアセットマネジメントを目指すためには、イベントのみならず日常時からこの空間がなんらかの形で利用されマネジメントされている必要がある。そのための空間的対策には、細長い敷地形状を生かして、隣接建物をよりマチノニワ側に開放し一体的に連携することや生活動線を一部変更することを通し、公園が周辺住民に親しまれ、多主体が能動的に利用することが求められる。あるいは、持続的なイベント運営のために、ノウハウを安定して蓄積しながら主体間調整を行う組織が求められる。