坂井市旧三国町における社会実験を通じた空き家の流通障壁の把握 歴史的市街地における空き家流通へ向けた研究　その２

摘要

近年、福井県坂井市旧三国町において空き家が急増しており、町家の消失による町並みの連続性の破壊が起きるなど、地域課題として深刻化している。前稿（その１）では、旧三国町内の空き家の空間分布や、空き家と視認される建物と管理頻度や経年数との関係性を把握した。空き家経年数が20 年を越える前に、建物を利活用することが建物の維持には不可欠であることが示唆された。一方で、空き家の多くは、倉庫利用や帰省時のみの一時的利用であり、低未利用である。結果的に、市場に流通していない場合が多く、空き家としての認識も低く、対策が取れていない。　空き家所有者の意向把握に関する既往研究としては、遊佐ら1) による空き家管理に関する意向の把握や、宮本ら2),3)による空き家取得の経緯や管理状態、空き家の賃貸、売買に関する抵抗感を明らかにした研究がある。