博物館実習経験者の属性の違いによる博物館の建築計画的研究

摘要

以上より、博物館実習を通して、博物館や学芸員の役割、そしてそれらを学ぶことによる変化を、所属学部別、進路別、資格取得動機別でその特徴を明らかにしてきた。その結果、所属学部による違いとして、芸術系や理工系に所属する修了生の回答に偏りが見られること、卒業後の進路の違いでも回答に偏りが見られた。T 大学では、学芸員課程科目は学部学科関係なく、同じ教室で、同じ内容の講義を行っている。今回の分析結果は、博物館に対する各個人のコンテキストの違いに起因するものが大きいと思われる。従って、学部学科個別に学芸員養成科目が開設されている大学で、同様な調査を行い、その内容を比較・分析することで、博物館に関する建築計画的に有益な知見を更に得ることができると思われる。また、2012 年度より博物館資料保存論、博物館展示論、博物館教育論、博物館経営論が新たに学芸員養成科目として加わった。今後は新しいカリキュラムで学んだ受講生に対する同様の調査を行い、分析を進める予定である。