「生物多様性に配慮した建築」における建設の背景と形態に反映される配慮「生物多様性に配慮した建築」の設計手法(1)

摘要

1992 年にﾘｵﾃﾞｼﾞｬﾈｲﾛで開かれた地球ｻﾐｯﾄで「生物の多様性に関する条約」が採択され、世界各地で様々な取り組みが行われてきたが、建築を通した提案はまだあまり行われているとは言いがたい。だが建築は物理的な環境をつくることを通して人の環境認識の方法に強い影響を与えていることを考えれば、人だけでなく生き物の存在を包摂した建築を創造し維持していくことが、生態系そのものの改善と同時に将来の環境形成のために不可欠であると言える。そこで本研究では、世界各地の生き物と人の関係を積極的につくるための建築物や構築物を「生物多様性に配慮した建築」と呼び、生き物の生態と人のふるまいの関係を検討することを通して、その建設の背景と建築の形態に反映される配慮を明らかにすることを目的とする。