「生物多様性に配慮した建築」における複数の配慮の統合 「生物多様性に配慮した建築」の設計手法(2)

摘要

前編では、生き物の生態と人のふるまいの関係を検討することで、その建設の背景と建築の形態に反映される配慮を抽出した。本編では、実践的な複数の配慮の統合を検討することで、「生物多様性に配慮した建築」（以下BFA）の設計手法を明らかにすることを目的とする。2.BFA の設計手法　建設の背景と形態に反映される配慮をBFAの種類ごとにまとめた(表1)。道のBFAには、道路開発で分断された生息地の再生などの背景がある。ｵ-ﾊﾞ-ﾊﾟｽ、ﾌﾞﾘｯｼﾞは車道をまたぐ生き物の移動経路である。中でもｵ-ﾊﾞ-ﾊﾟｽはｺﾝｸﾘ-ﾄ製で、閉所を嫌う生態に配慮し開放的であり、客土や植栽で自然を模倣し、出入口には周辺と連続する植栽を行う、柵を設け誘導するなどの配慮がなされる(構、出、意の統合)。ﾌﾞﾘｯｼﾞは簡素な構造物が多く、入口手前への巣箱の設置、生き物が好む果樹を支柱とするなどﾌﾞﾘｯｼﾞの利用を促すよう配慮される。生き物が登りやすいよう、とりつきやすい仕上げに配慮される(姿、出、意の統合)。ｱﾝﾀﾞ-ﾊﾟｽは道路下に設置されるｺﾝｸﾘ-ﾄ製のﾄﾝﾈﾙで、生き物の大きさ、動き、閉鎖空間への好みに配慮される。出入口には周辺と連続する植栽を行うなど配慮される(構、出、意の統合)。巣のBFAのうち巣箱は樹洞で生活、繁殖する生き物のための外敵から守られた箱で、生き物の大きさや内部の暗さの好みに配慮される。また、鳥の好む樹木を植えるなど、周辺環境に配慮される(環、構、出、時、敵、管