仮想評価法(CVM)による災害遺構の便益評価に関する研究－雲仙普賢岳の噴火災害遺構「旧大野木場小学校被災校舎」を事例として－

摘要

本研究では、雲仙普賢岳の噴火災害による災害遺構である「旧大野木場小学校被災校舎」を事例に、災害遺構に対する支払意志額と便益の価推計を行った。その結果、旧大野木場小学校被災校舎の便益の推定額は年間約430万円という結果となった。東日本大震災の被災地においても被災校舎の保存が検討6)されているが、校舎をそのまま保存する場合は、年間あたり430 万円前後が維持管理に捻出するのに妥当な金額であると言えるだろう。平成24 年度の旧大野木場小学校被災校舎の維持管理費は約85万9 千円であった2)たが、平成22 年度には大規模修繕工事がなされ維持管理費が約2,118 万円だったため、災害遺構の便益が見込まれるように維持管理の再検討や地域住民の災害遺構に対する価値を高めるような取り組みを検討する必要があるだろう。