北京798 芸術区の歴史的変遷からみる建築的特徴北京798 芸術区における産業遺産の持続的あり方(1)

摘要

中国では、1950 年代から多くの先進国の支援によって全国に大規模で様々な工場の建設が始まった。しかし、産業構造の転換や新技術の進歩に伴い、21 世紀に入ってから廃工場が増加した。それらに対し産業遺産としての保存や改修など活用がなされるようになるが、商業化の傾向も著しく、必ずしも産業遺産としての空間的な価値が重要視されたものとは言いがたい。産業遺産は産業文明を広める存在であり、都市文化の一部としても重要である。そこで本研究は、都市化の環境における産業遺産の保存が必要と考え、北京798 芸術区（以下、798 芸術区）を対象として、その歴史的変遷と建築的特徴、またこれらの関係の分析・考察から、利用実態の問題点を明らかにし、産業遺産の持続的あり方を捉えることを目的とする。本編では工場発展に関する文献調査と現地調査により、芸術区の歴史的変遷から各時代の建築的特徴を明らかにした。