ドライバ状態推定のための装着型センサを用いた体動検知手法の検討

摘要

近年，シートベルト着用率の向上や ABS，エアバッグ等の車両の安全装備の普及により，交通事故の発生件数は減少傾向にある．しかし，交通事故により毎年約 4 千人が亡くなっており，また発生件数も年間約50万件に及ぶなど，交通事故は依然として深刻な社会問題の一つとなっている．交通死亡事故件数を法令違反別にみると，2017年中は全法令違反3,247件のうち，安全運転義務違反が1,920件発生し，全体の約60%を占めている．さらに，安全運転義務違反には「脇見運転」や「安全不確認」が含まれるが，このうち，居眠り運転を含む「漫然運転」による事故が多く発生しており，交通死亡事故件数全体の約20 %に及ぶ．予防安全の観点からドライバの漫然状態を検出する方法が必要とされている．ドライバの注意力や覚醒度の低下を早期に検出し，ドライバに警報を鳴らしたり，情報を提示することで事故を未然に防ぐことができると考える．本研究では，漫然運転を内在的要因，すなわち，「疲労や眠気などにより意識自体が低下し，注意力が低下した状態での運転」と定義する．