コンクリートの欠陥検知に適した回転式打撃条件の検討

摘要

近年，高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の多くが耐用年数を迎え，経年劣化による事故を防ぐために定期的な検査を行うことが義務付けられている．実際の現場では，簡易かつ低コストである打音法が広く用いられている．打音法は，コンクリート表面を点検ハンマで打撃し，コンクリート表面から放射される打撃音を基に内部欠陥（コンクリートの浮きや空隙など）を検知する検査方法である．現状では，打撃音の違いによる欠陥の有無の判別は検査員の経験や感覚に依る部分が大きく，熟練性を必要とすること，欠陥の深さや大きさといった詳細な情報を定量的に把握することが困難であるといった問題がある．また，点検ハンマによる打撃では打撃力がばらつくことや検査に要する時間が多大になることも問題となっている．そこで，打撃音から欠陥の状態を定量的に評価する方法や打音検査の効率化に関する研究が精力的に行われている．