マウス神経細胞の簡易移植システム構築及びそれに対する動的力学刺激の影響

摘要

これまで治療できなかった難病に対して，iPS 細胞（人工多能性幹細胞 : induced Pluripotent Stem Cell）を用いた再生医療に期待が寄せられている．再生医療の研究例として，パーキソン病という神経伝達物質の1 種であるドーパミンを分泌するドーパミン神経細胞が減少し，身体の動きに障害が発生するという疾患に関する研究が注目されている．2017 年8 月にパーキソン病霊長類モデル（サル）に対してヒトiPS 細胞由来のドーパミン神経前駆細胞を移植し，術後のサルの行動解析によりパーキソン病の症状が軽減されたという研究が発表された．また，2018 年度中には実際にパーキソン病の患者に対してヒトiPS 細胞由来のドーパミン神経前駆細胞を移植する治験を行うという計画が発表されている．このように，移植治療の研究はマウスやサル，ヒトなどの生体内に直接移植するという手法が多く取られている．移植を行った後の経過を観察することで，治療の効果を確認できるため最も一般的な方法である．しかし，移植させた細胞の成長を観測することはMRI（Magnetic Resonance Imaging）による画像解析や，細胞を採取し免疫染色を行うことで特徴的なマーカー検出するなどの間接的な方法で行う必要がある．