ボイラ管群で発生する自励音対策ための穴あき板の利用に関する数値的研究

摘要

一般に流れの中に管群を設置すると，管群下流直後部にカルマン渦が発生する．流速の上昇によりカルマン渦の放出周波数も比例して上昇する．しかし，管群がダクト内部にあり，ダクトの共鳴周波数に近い周波数範囲では，図1 の様にカルマン渦の放出周波数がダクトの共鳴周波数に引き込まれ遷移することがある．この現象はロックイン現象と呼ばれ，このときに自励音が発生することが知られている．ボイラ，ガス加熱器などの熱交換器には，ガスタービンの排ガスやボイラ炉からのガスが通るダクトの内部に管群が設置されている箇所があり，この部分で熱交換が行われるが，ロックイン現象により，空力自励音（以下自励音）と呼ばれる非常に大きな騒音が発生することがある．ロックイン時においては図１に示すように流速の上昇につれてわずかに周波数も上昇する．さらにこの現象はダクト内音場の音響減衰が大きい場合は流速の増加につれてロックインを脱し音圧レベルが下がるが，音響減衰が小さい場合には流速が増加しても音圧レベルはほぼ一定に保たれる傾向がある(6)．これは，管群をガスが通る際に発生するカルマン渦の放出周波数とダクトの気柱共鳴周波数が近接したとき，周囲の音場が強く励振されダクト幅方法の共鳴周波数に一致した周波数を有する強い渦が発生し，それにより音場がさらに励振されるという自励的メカニズムが原因であることが知られている．これには通常バッフル板と呼ばれる仕切り板をダクト内部に挿入する対策が用いられているが，バッフル板の適切な挿入位置の決定は容易ではなく，また既存のダクトへの後からの挿入はさらに困難を伴うことが多い．石原(7)らはダクトの両側面に穴あき板を装着することを考案し，穴あき板の装着により自励音の抑制を確認している．その際，開口率ϕ をパラメータとしてϕ の値の変化がダクト内の自励音にどのような影響を与えるかを実験により明らかにしている．そこで本研究では実験の結果を踏まえ，穴あき板が空力自励音に与える影響について数値解析を用いて検証する．穴あき板の開口率の変化が自励音に与える影響について明らかにしていく．