分散制御による多点加振を用いた音響空間の固有振動計測

摘要

近年，自動車や鉄道車両等において車室内の静粛性向上が求められている．車室内の静粛性に悪影響を及ぼすものとして，車両走行時に車室内に生じるエンジンノイズ，こもり音，ロードノイズ，風切り音などの騒音が挙げられる．これらの車室騒音は，ボディ等における構造系の振動と車室内における音響系の振動が連成することによって励起される．そのため，音響系における振動特性の把握は車室内の低騒音化を図る上で重要である．音響系の振動特性を把握する手段として，車室内の音響加振による実験モード解析がある．車室内は3 次元音響空間であるために固有振動が狭帯域に密集し，さらにシート等の吸音素材が占める割合が大きい大減衰系である．したがって，車室内の固有振動を1 点加振で励起することは難しく，振動特性を正確に把握できない．そこで，一般的には加振点を多数設ける多点加振が必要とされる．