冷凍機用電動往復振動型圧縮機に関する動的挙動解析

摘要

冷凍機用電動往復振動型圧縮機はスイングモータを用いた圧縮機である．通常，圧縮機の動力としては主軸が回転運動する回転式（いわゆるモータ）が一般的である．対してスイングモータは，圧縮機（ピストン）に直結されたコイルと支持ばねからなる振動系が周期的な電磁力により共振し，往復運動する振動型である．これにより，振動体に直接ピストンを結合させ，電気的入力を回転運動を経ることなく直接，往復運動とすることができる．スイングモータ外部からの振動入力に対する耐振性に優れているので，車載用冷蔵庫に適する．さらに，回転系に比べて摩擦摺動部が少ないほか，回転型において始動時に生じる突入電流がスイングモータでは極めて小さく，消費電力が抑えられるという利点がある．一方で，ピストンの振幅が既知となる回転型とは異なり，スイングコンプレッサーのコイルおよびピストン部は入力電圧や周波数に依存するとともに，磁場の分布，コイルに流れる電流，冷媒の圧力とも相互に連成するため，理論的な性能の予測が困難である．