人工衛星による有色溶存有機物推定に基づいた東京湾への河川水流入過程に関するー考察

摘要

河川の影響を受ける海域において，河川水の平面的な 拡がりを明らかにすることは水質管理上重要である.有色溶存有機物（CDOM)は，土壌で作られ，河川水の流入に よって海に運ばれるが，難分解性であるため，保存的に 塩分と相関を持つ.CDOMと塩分の関係性に着目した研究 として，佐々木ら（2013)は，衛星リモートセンシングによ って，河川の影響を受ける東シナ海のCDOM分布を推定 し，海面塩分から河川水の平面的な拡がりにっいて考察 しているが，東京湾のような，河川の影響を大きく受け る富栄養化水域において適用した例はほとhどなく，そ の有効性に関する知見は少ない.そこで本研究では，現 地における光学観測に基づき東京湾におけるCDOM推定 モデルを作成した.また，静止海色衛星COMS/GOCIに よって取得された衛星画像にCDOM推定モデルを適用し， 出水後における湾内での河川水の拡がりの時空間的変動 にっいて考察を行った.