商品設計者のための樹脂成形金型入門：3次元CADを利用した設計のポイント3次元CAD操作技術取得のために（下）

摘要

1.ソリッドモデラはどう進化してきたかプーリアン処理機能をもつ3次元CADを使いこなすコツは，その進化の歴史を遡って，本質を知ることである．そこで，ソリッドモデラ草創期である15年前に遡って振り返ってみる．当時3次元CADの研究者たちは，2つのグループに分かれて熱心な議論を戦わせていた．「B－Rep」と呼ばれる形状表現方法が設計の自動化目的の3次元CADには適しているという勢力と，「CSG」と呼ばれる方法を支持する勢力だ．それぞれ自分たちの支持する方法が最良の方法として，まだ実体もなく（実験段階の3次元CADの起源的システムはいくつか存在したが），適用事例もない中での夢の議論を続けていた．ソリッドベースの商用3次元CADの走りとして最初に世に出た米SDRC社の「GEOMOD」の形状記述は，B－Repの方法を採っていた．CSGを採用しなかったのは，当時の貧弱なコンピュータ処理能力ではとても実用化できないと判断したからであった．