予算制釣下における農業水利施設の最適補修計画の作成手法 －国営造成農業用水路を事例として－

摘要

農業水利施設，補修計画，ライフサイクルコスト農林水産省では，限られた予算を一層効率的に使用する観点から，既存の農業水利施設の機能保全とライフサイクルコストの低減を目的とするストックマネジメント手法を導入した。ストックマネジメントの導入に当たっては，「農業水利施設の機能保全の手引き」（2007）が作成され，ストックマネジメントの基本的考え方と，現場での実施のための枠組み等が示されている。 今後，上の手引きに沿って，ストックマネジメント手法の定着が図られていくだろうが，この手引きに明示されていない重要な課題として，予算制約下の最適補修計画を策定する手法があげられる。 農業水利施設はダム，頭首工から開水路，暗渠，パイプライン，揚水機場等の多工程から構成され，延長も国営造成施設では数十bn以上になる。 これらの施設のライフサイクルコストを最小化するように補修計画を作成しても，実際には予算制約により補修計画の修正が必要とされるケースは少なくないであろう。