第5章光放射の計測

摘要

測光?放射測定の信頼性を確保するために重要な国家標準の国際的な整合性の確保（同等性の相互認証）が進められている．特に全世界的な国家計量標準の同等性の相互承認を促進するため，各地域計量組織（RMO）の活動が重要視されており，CCPRに準拠した基幹比較や，関連量の補完比較（Supplementary Comparison）などの国際比較が各地域で行われている．一方，光源照明におけるSSL（Solid State Lighting）の急速な普及に伴う，その光の評価方法に対する研究活動が活発である．特にSSL試験規格の作成への取り組みが本格的に開始した．これに合わせてSSLの光学特性や電気特性，熱特性などの測定方法標準化への取り組みが活発となった．受光器?放射検出器に関しては，従来の光源と分光分布が全く異なるLEDの普及により，光放射の生体安全性に関する議論が盛hになっている．また，紫外波長域や赤外波長域に対して，さまざまな材料による検出器の研究が報告された．光応用計測の分野では，紫外域からテラへルツ領域にかけて幅広い放射測定技術およびその応用技術の報告が行われている．また，医療分野や，バイオ生物関連計測の分野で赤外計測を応用が積極的に進められている．ゴニオフォトメータやニアフィールドゴニオフォトメータの応用開発が報告されている．材料の光学特性においては，工業製品や素材の表面の質感が，幅広い産業における顧客の選択要因となるため，そのアピアランスを正確に評価するための測定技術が求められている．この分野では物体面の色や反射率を精度良く測定するための装置開発，およびその測定データに基づく双方向反射率分布関数（BRDF）や双方向散乱分布関数（BSDF），双方向散乱面反射率分布関数（BSSRDF）などの決定方法の開発が活発に行われている．