第4章配線および制御システム

摘要

2013年は，2020年の東京オリンピック招致決定とともに，安倍政権の成長戦略が功を奏し，経済に明るい兆しが見えて来た．一方，記録的な猛暑，竜巻による被害やゲリラ豪雨の多発など環境変化への対応が求められるようになってきている．環境変化への対応として，スマート化とかZEB（ネット?ゼロ?エネルギー?ビル）化といった考え方が注目され，知恵を絞ってエネルギーを無駄なく，賢く使い，生活の利便性や快適性を維持しつつ，環境に配慮し，より一層省エネを図ることが求められている．本章で取り上げた，主に照明設備に関連する「配線および制御システム」では，景気回復に伴い，高機能なシステムや機器類の需要が増えており，高齢化や安全?安心への配慮から人にやさしく，賢い省エネ，創エネ，蓄エネ実現のための機器やシステム開発が着実に進hでいる．配線器具?材料においては，電気自動車の普及に伴い，利便性の高い充電設備の商品開発が活発になってきた．また，スイッチ付コンセントやLED照明器具に対応した調光スイッチ，地震検知機能や，雷保護機能付き分電盤，さらには，スマート家電，太陽光発電設備や蓄電池設備との連携など高機能化商品の比率が高くなってきている．一方，コードのひっかけやつまずきに配慮したマグネット式スイッチなど高齢者を意識した機器類に見られるように，ユニバーサルデザイン対応の機器類も着実に増えている．制御システムについてもネットワーク化や高機能化がより一層進hでいる．省エネだけでなく，照明環境の改善を目的として，照明器具自身が制御端末器となり，個人を対象として照度や色温度を含め，今までにないきめ細かな制御が可能な機器やシステム開発が盛hに行われている．また，ネットワーク化によって監視設備と連携し，電力の見える化が行われ，個人の省エネに対する意識向上への取り組みが浸透してきている．配線設計?工事に関しては，エネルギーの使用の合理化に関する法律や電気事業法と関連法令の改正が行われ，環境配慮への対応や東日本大震災の影響による電力需給のひっ迫状況を踏まえた電力システム改革への対応が着実に進み，配線設計?工事に活かされている．