2010年1月の大気大循環と世界の天候

摘要

500 hPa高度を見ると，カナダから西シべリアにかけては，ブロッキング高気圧の発達に対応して，正偏差が分布した．海面更正気圧で見ても，北半球全般に高緯度で高気圧偏差，中緯度で低気圧偏差という負の北極振動が持続した．ロシア西部を中心とした高気圧偏差が顕著で，イカル湖付近では顕著な低温偏差が見られた．アリューシャン低気圧は平年に比べ東偏し，北米北部の大平洋沿岸域では高温偏差となった．リッジが位置したカナダでは顕著な高温偏差となった．200hPa風速を見ると，亜熱帯ジェットは北太平洋東部で南偏し，かなり強かった．北太平洋のストームトラック域における高周波擾乱の活動は全般に活発で，東部では活発域が平年より南偏した．全球平均した対流圏の層厚換算温度の平年偏差は，+0.7°C となり，1979年以降1月として最も高かった.