セレラキシン

摘要

急性心不全とは，日本循環器学会の急性心不全治療ガイドライン（2011年改訂版）では「心臓に 器質的および/あるいは機能的異常が生じて急速 に心ポンプ機能の代償機転が破綻し，心室拡張末 期圧の上昇や主要臓器への灌流不全を来し，それ に基づく症状や徴候が急性に出現，あるいは悪化 した病態」と定義されている。急性心不全によ る入院数は年々増加し，現在では急性心筋梗塞の それを上回っている.急性心不全における治療 薬の主体は，利尿薬，血管拡張薬と強心薬であ り，これらによって症状の改善は得られるもの の，死亡や再入院を含む予後の改善は示されてい ない.欧米において利尿べプチドのネシリチドゃ バソプレシン受容体拮抗薬のトルバブタンを用い た大規模臨床試験が行われたが，いずれも死亡や 心不全による入院を減少させるとのェビデンスは 得られておらず，急性心不全の治療薬の進歩 は十分とはいえない.