腸オルガノイド

摘要

腸管では早くから組織幹細胞の概念が認識され,遺伝学的な細胞系譜追跡法などの実験的手法を駆使することで腸管組織幹細胞,前駆細胞や分化細胞の分子レベルでの特性が明らかになってきた。その知見を基盤に粘膜上皮組織を体外培養系ヘ反映し長期に培養も可能とする器官疑似モデル(オルガノイド)技術も開発されてきた。多能性幹細胞の応用は腸オルガノイド研究をさらに深く展開できる可能性がある。多能性幹細胞から腸管オルガノイドを作製する特性として,未分化細胞から作製するため腸管の発生過程を模倣できることと粘膜上皮組織のみならず粘膜下組織も含めた分化誘導が可能である点にある。本稿では,ヒト多能性幹細胞を応用した腸オルガノイド特性の理解を深めっっ,その応用の可能性にっいて概説する。