低速から超音速の固体粒子衝突による材料の変形挙動-超音速固体粒子衝突エロージョンへの展開-

摘要

本研究では低速から超音速の固体粒子衝突による材料の変形挙動を調べ，以下のような結論を得た．へこみの形態とともに直径率は衝突速度に対して3つの領域Ⅰ，Ⅱ，Ⅲに分かれた。 衝突速度に対するへこみの深さ率の挙動は材料によって異なり，へこみの形態や直径比の挙動とは必ずしも一致しなかった。計算により求めた平均接触圧力は直径率の3つの領域にそれぞれ良く対応した．一般的な低速の固体粒子衝突エロージョンの領域は本研究で示される領域ⅠまたはⅡの一部に属するが，直径率や渡さ率の挙動は低速から超音速にかけて連続的に推移した。 衝突速度を高くすると試験材料の種類に関係なくWC球は一定の平均接触圧力で破壊し，WC球の動的な破壊強度を示した。 領域Ⅲは被衝突材料と衝突粒子の強度に関連することが分かった。 超音速衝突による材料の脱離挙動は低速におけるそれと異なり，損傷の度合いは大きかった．この理由に低速で見られる塑性変形や切削現象に加えて材料の溶解現象が加わったものと推察された．この研究を遂行するにあたり多大なるご協力を頂いた広島大学大学院工学研究科移動現象工学専攻修了生の立花晋也氏，硯専攻学生の吉田統樹氏に深く感謝致します．