大口径高温高圧弁（コバルトフリー弁座材付）の実証試験

摘要

原子力プラントの給復水系などの仕切弁に適用するコバルトフリー弁座材は，奔出入口に大きな差圧を受けた状態で開閉作動を行ったとき，弁座部にかじりが生じ狙いことが重要である。今回は前報の試験片での試験に引き続き，300A弁および600A弁の実弁による作動試験を行い以下の結論を得た。 1）弁座にNi基合金を肉盛した実機サイズ弁により実機模擬条件下での作動試験を行った結果，弁体側にA－1と弁座側に開発合金のA－3を組み合わせることによって良好な摺動性が得られることが確認された。 2）　 この組合せが良好であったのは，A-3合金にFeを多く含有させたため硬さが小さくなり，摺勤に際してせh断力が小さいA-3合金側が優先的に微小な摩耗を生じ，さらにNiFe_2O_4を主とした酸化物を生成することによって両材料間の焼付の発生を防止していることが考えられた。 3）既存プラント用弁へNi基の弁産材を適用する場合，弁座側を現状のステライトNo．6をそのままとし，弁体側のみをA－3合金に取り替えることが現実的であるが，その組合せについても600A弁で良好な摺動性が得られることを確認した。 4）上記のような結果は，前報の試験片による実機を模擬した試験結果を裏付ける結果となり，試験片による摺動試験において適切な試験条件を選ぶことによって有效な実機評価試験が実施できることが分かった。 5）開発したNi基のA－3合金は原子力プラントの大口径高温高圧弁座材として十分適用可能な材料であるものと考えられる。