レーザーラマン分光法による高温腐食皮膜の解析

摘要

ラマン散乱分光法とフォトルミネッセンス法をとりあげ高温酸化膜の解析への適用について述べた。 それぞれのスペクトルから得られるピーク位置，強度，半価幅などには，酸化膜性状を反映する情報が含まれていることから，特に，従来の物理的手法では見い出しにくい酸化膜の性状の差を検出することができ，保護機能を支配する因子の新たな評価への切り口となると考えている。また，可視光を用いた解析法であることから，測定試料の形状や測定環境に対する制約が他の分析法に比べて少ない。 これらの特徴から，生産プロセスでの品質管理や実環境下での分析が可能であり，溶液中，高温反応その場分析への適用もさらに増えてくると予想される。 特に，TBCコートの内部酸化に伴う材質劣化と内部応力の蓄積の評価への適用など，高温環境下での情報もかなり興味あるところであり，その場解析における測定技術の向上や解析のためのデータ蓄積が望まれる。 今後，これらの手法により得られた知見が, 高温酸化のみならず腐食機構の解明や表面改質による耐食性向上技術の開発に寄与するものと考えられる。