Fe-X（X＝Al，Cr，or Si）二元合金の高温酸化に及ぼす水蒸気の影響

摘要

Al，CrおよびSiを含むFe基2元合金ののN_2, O_2およびH_2O混合雰囲気中の酸化挙動を検討し，以下の結論が得られた。 1．いずれの合金においても，水蒸気の添加により酸化量は著しく増加し，厚いFe酸化物主体の外層とFeOおよびFeと合金元素の複酸化物の混合相からなる内層が生成し，合金表面側には内部酸化物層が生成した。2. 酸化曲線はS字型となり，酸化が緩やかに進行する潜伏期間，激しい酸化が起こる遷移期間を経て，比較的緩やかに酸化が進行する定常酸化に移行した。 潜伏期間では，FeAl_2O_4，（Fe，Cr）_3O_4またはSi-richな酸化物皮膜が保護性を発揮するが，遷移期間ではそれら皮膜が破壊され，激しい酸化が生じた。3．酸化の初期に見られる遷移期間では，皮膜/合金界面の酸素分圧が増加するため，合金表面にFeOが生成し，FeAl_2O_4，（Fe，Cr）_3O_4またはSi－richな酸化物皮膜の安定性を損うため酸化量が増大する。 4．水蒸気を介しての解離機構により，内方への酸素流束の増大に伴い，外方へのFeイオン流束が増大すること，保護性に乏しいFeOが生成することと相まって, 酸化量が増大することが示唆された。