鉄鋼材料中に存在する水素を定量化する方法は？

摘要

鉄鋼材料の遅れ破壊は材料中に侵入した水素によって引き起こされるとされていますが，材料中の水素を定量化する方法はありますか？この現象は「水素脆化」とも呼ばれ，環境から侵入した水素により材料が脆化し，その強度や靭性が著しく低下する現象です。 水素化物を形成して脆化するTiやZrなどの合金とは異なり，水素化物を形成せずに脆化する鉄鋼材料やAl合金などでは，固溶水素の挙動が重要となります。この場合①水素原子が小さくて軽く，②微量な水素が脆化に関与するため，水素検出装置が限られること，③水素は室温で材料中を容易に侵入·拡散·逃散できることなどの理由から，材料中の水素の実態を捉えることが極めて難しいのが実情です。