遺伝子組換え作物：YES or NO？

摘要

1996年に本格的な商業生産が開始された遺伝子組換え作物（GM作物）の栽培面積は，その後6年間連続して著しい伸びを示した。 ISAAA（国際アグリバイオ技術事業団）が2003年1月16日付けで発表したインターネット情報によると、2002年におけるGM作物の栽培面積は、前年比12％の増加を示し，5,870万haとなった。 これは、わが国の国土面積の約1.5倍に相当する。 栽培国別の割合は，アメリカ：66％、アルゼンチン：23％、カナダ：6％、中国：4％となり上位4か国で全体の99％を占めた。 作物別栽培面積の割合は、ダイズ：62％，トウモロコシ：21日％、り夕：12％，ナタネ：5％でこれら4作物でほぼ100％を占めた。 また、導入形質別の割合は、除草剤耐性：75％，害虫抵抗性：17％、両形質兼用：8％であった。 以上を品目別に特徴づけると，除草剤耐性ダイズ：62％、害虫抵抗性トウモロコシ：13％、除草剤耐性ナタネ：5％などとなるはか、除草剤耐性，害虫抵抗性のいずれか一方，あるいはその両方を導入したブタが12％となった。 2002年における世界のダイズ生産の51％がGMダイズで占められる結果となったことが注目される。 わが国はダイズとトウモロコシをアメリカから，ナタネはカナダからの輸入に依存している。 これらの作物は生産国で分別流通されていないため，わが国においても，主として植物油，家畜飼料，アルコール、醤油などの原料中にGM作物が混入してくるのが実情である。 このような情勢の中，筆者が勤務している北海道農業研究センターにおいてGMイネの試験栽培が開始きれた。 これに対して，いくつかの市民団体から批判の声が寄せられている。今回はGM作物の是非について、その論点を整理したので紹介する。 各項目における論旨を明確にするため，問題の背景を［解説】で示し、続けて，GM作物に批判的な意見を［NO］、それに対する反論を【YES］で示した。