加速するアジア経濟圏形成と素形材産業の取組み：タイの金型産業の現状と日本の金型産業のアジア展開

摘要

2003年春のSARS騒動、そして今春、日本人に大きな衝撃を与えた反日デモ騒動の報道をみるにつけ、チャイナ·リスクを再認識している企業も少なくないであろう。 帝国データバンクが行った「中国カントリーリスクに対する影響調査」（05 年4月下旬実施）によれば、中国への進出計画を持つ企業の3社に1社超が、今回の反日感情の高まりによって「計画を見直している」という。 その「計画の見直し先」の候補地として再び注目を集めるASEANに目を転じると、中国の高成長の影に隠れがちだが、そこにも成長市場が広がっている。ASEANといえば、通貨危機や中国への生産シフトといったネガティブなイメージが未だに残る向きもあるが、そうした影響も完全に払拭された。 そこで、本稿では好況のタイにスポットを当て、タイ金型産業の市場動向および日本金型産業の進出などについてみていくことにする。