プラスチック光ファイバー

摘要

1990年代にはインターネットの爆発的な普及が起こり，2000年以降はそのインターネットの高速化にさらなる期待がよせられている。 近年，既存の電話線によるネットワークを利用した高速データ通信が可能となるADSL（Asymmetric Digital Subscriber Line）に代わり，光ファイバーネットワークを用いた高速データ通信に注目が集まっている。 NTT，電力系の通信会社などのブロードバンドサービスのほとんどが，通信網幹線系と同様の石英系光ファイバーを用いている。 この光ファイバーのコア（光が伝搬する領域）径は10 μm以下であり髪の毛の10分の1程度の細さである。 石英系光ファイバーは，極めて優れた伝送性能を有するが，多数の接続や分岐を必要とする最後の数百メートルの敷設が今後の課題であると思われる。 一方，プラスチックに特有の機械特性や可とう性から100 μm～1000 μmのコア径が可能であり，接続などの取り扱い性に関しては従来のLAN（Local Area Network）ケーブルと同様な容易さを望め，石英系マルチモード光ファイバーに匹敵する高速性をも実現可能なプラスチック光ファイバー（POF）が注目されている。 既にその実用化も一部で図られている。本稿では，通信媒体となりうるPOFのうち，高速通信が可能な屈折率分布型プラスチック光ファイバー（GI型POF）について解説する。