石炭中のマイナーおよびトレースエレメント

摘要

石炭など化石燃料をエネルギーとして使用する限り，その消費量の増加に伴い地球温室効果ガスとしてのCO_2や灰などの廃棄物も増加する。 しかし，昨今のエネルギー事情からは，新エネルギーの爆発的な伸びは期待できず，将来とも石炭などの化石燃料は世界ばかりでなく日本においても主要なエネルギー源とならざるを得ない。 こうした石炭，バイオマスや廃棄物などの劣質炭素資源を有効活用する上では，いかにCO_2排出量削減を目指した高効率利用技術と低公害·環境調和型のエネルギー転換技術を確立するかである。 環境問題，特に燃焼プロセスと関連した大気汚染問題では，これまではSOxやNOx，煤塵などを対象にしてきたが，最近ではダイオキシンや環境ホルモンなどに注目が集まり，規制の対象がメジャーからマイナーへ，そしてトレースエレメントに向かう傾向にある。 メジャーマテリアル資源である石炭を含む劣質炭素資源の利用拡大にあたっては，これまでトレースとして扱われてきた成分に対し，十分に配慮しておく必要がある。