第2章光関連材料?デバイス

摘要

地上波テレビ放送のデジタル化が2012年に日本の47都道府県で完了したことから，デジタルテレビの需要も2013年には一段落した．2013年の国内の薄型テレビの出荷台数は前年比83%にとどまった．また，薄型テレビの単価も下落し，プラズマディスプレイ（PDP）の生産も中止に至った．他方，2013年も高精細化，薄型化の流れは続いており，4K解像度のテレビの市場投入も始まるなど技術開発は続いている．また，液晶の材料として視野角依存の少ないブルー相の研究発表が多くなされた．無機ELは性能改善が続いており，2013年には分散型ELでは蛍光体の結晶配向と電極構造の最適化により輝度を200cd/m~2から600cd/m~2程度まで改善が可能であるとの予測がなされたり，薄膜型では緑色EL素子において，電流効率4.65cd/A，最大輝度2,430cd/m~2が報告されるなど，効率改善が進んでいる．有機ELはテレビ向けの開発が進められ，平面型および局面型の大画面のフルHDや4Kテレビが発表された．またフレキシブルパネルについても研究が進んでいる．照明用途の開発も進められており，マイクロレンズアレイ最適化により，114lm/W，輝度半減時間10万時間，演色指数CRI80の達成が報告されている．レーザについては，レーザ照明に加えて自動車のへッドアップディスプレイなどのディスプレイ用途に向けた開発がなされている．金属材料のうち，光源材料として重要なタングステン粉は消防法危険物判定における区分見直しにより，粒径で区分がなされることとなった．またトリエーテッドタングステン材の代替研究も活発に実施された．蛍光体はLED用の開発が行われており，青色励起可能な酸化物系のNaMgPO_4:Eu~(2+)（赤色蛍光体），SrAl_2Si_3O_4N_4:Eu~(2+)（青緑色蛍光体）などが創製された．セラミックスについては，透光性や透明性の改善が課題となっている．例えば，PCA（Poly-Crystalline）の改良は継続しており，直線透過率が71%に達している．ガラスについてはLEDやOLEDの照明部材としての研究が活発になされた．