チタン

摘要

チタンは1790年に発見されたが，実用材料として登場したのは1946年にクロール1）により開発された「マグネシウム還元法（クロール法）」以降であり，我が国では1954年に工業的生産が開始された．以来，チタンおよびチタン合金は，軽くて強く，耐食性に極めて優れるという特性から，反応容器?熱交換器?配管?各種電極として化学工業に，火力?原子力発電所の復水器?蒸気タービンブレードや潅水淡水化装置の伝熟管をどとしてエネルギー産業に，また航空機の機体?ジェットエンジンやロケット部品としで航空幕宙産業などに使用されてきた．近年では，めがね?時計などの日用品，屋根?壁?モニュメントなどの建築分野，ゴルフクラブを初めとするスポーツ用品，釣り具?二輪車マフラー?自転車フレームなどのレジャー用品，人工骨?車椅子をどの医療?福祉分野などに幅広く展開されるとともに，プレート式熱交換器や燃料電池用セパレータ素材などにも用途を広げつつある．本稿では，チタンの耐食性と防食技術に関わる最新の動向とその進歩事例に述べるとともに，将来を展望する．