コロージョン·エンジニアリングの再構築を

摘要

私は，日本で数えるほどしかない腐食防食の研究室で3年間，電気化学を始めとする腐食防食に関する知識をみっちり仕込まれた後，現在の所属に配属されました．私が会社に入ったとき，社内プラントでは腐食問題が頻発していました．よって，腐食防食に関する最新の知識を身につけた者としては，今思えば若気の至りなのですが，すぐに仕事の依頼が舞い込むものと考えていました．ところが，何日経っても腐食問題を抱えた人は，私のところには来ませんでした．当時私は，なぜそうなるのか理解できませんでした．そしてある日，先輩社員の仕事ぶりを横で見ていたとき，その理由に気がつきました．それは，私には，腐食防食に関する『知識』が多少あっても，それを具体的な行動に結びつける『知恵』が全く無かったということでした．その後私に，この種の相談が普通に来るようになるまでに，約10年もの歳月を要しました．