第13回巿川賞: 震災で発生した廃木材の塩素濃度簡易自動測定装置の開発

摘要

この度，大起理化工業株式会社の大石正行氏，東京都立産業技術研究センター（以下，都産技研）の安藤恵理氏，杉森博和氏，荒川豊氏，田熊保彦氏，瓦田研介氏が標記の業績により第13回巿川賞を受賞しましたことに心から御礼申し上げます。本開発は，東日本大震災によって生じた大量の廃棄物の再利用を進める上で障害となっていた廃木材中の塩素濃度測定に関するものです。海水に浸った震災廃木材には塩素が高濃度に蓄積している場合があり，燃焼炉など金属部品の腐食が危惧されていました。また，岩手大学の関野教授らのご協力により岩手県沿岸部を中心に現地調査を行ったところ，震災廃木材の処分場では大量の震災廃木材の塩素量を正確に把握する必要があり，多数のサンプルを自動で測定する装置が求められていることがわかりました。そこで，化学計測装置の開発•販売を得意とする大起理化工業㈱と塩素濃度の高精度分析が可能な都産技研が共同で平成23年度震災復興技術イノベーション創出実証研究事業（経済産業省）に首尾よく採択され，共同研究として塩素濃度の簡易自動測定装置を開発しました。