フイリピンにおけるココヤシ幹材の利用状況と賦存量

摘要

東南アジアを原産地とするココヤシは，果実であるココナツを収獲する商品作物としてフィリピンをはじめ熱帯地域で広く栽培されている（第1図）。2014年のフィリピンにおけるココナツの胚乳（コブラ）の生産量は1,470万tと世界一であり，同国の農林水産業の最も重要な産品の一つとなつている~1)。一般的にココヤシは老齢になるとココナツの収穫量が減少するため，老齢木の定期的な伐採と新規植替えが欠かせない~（2〜3)。更新時に伐採されるココヤシの幹（以下ココゥッド）は古くから用材として利用されてきた。特に樹齢60年を超えるものは，辺材部の密度が高くなり褐色から黒色を呈し，チークや黒檀，紫檀の様な風合いで，銘木家具や内装材としての価値を持つ。一方でフィリピンをはじめ，多くの栽培地でココヤシの老齢化が深刻な社会問題となっている。