浸漬型膜分離嫌気性処理による調味廃液の低負荷処理と水質向上

摘要

嫌気性処理は，好気性処理と比較し，省エネルギーや汚泥発生量低減の観点ですぐれる反面，処理水質は劣るとされてきた。浸漬型膜分離嫌気性処理法(SAMBR)は，発酵槽内に浸漬させた精密ろ過膜により，汚泥と処理水を分離することで水理学的滞留時間(HRT)と汚泥滞留時間(SRT)を分離制御する処理法であり，槽外への浮遊物質の流出を防止できるため，処理水質の改善が期待される。 本研究では，梅調味廃液を原水として，500日以上の長期にわたりSAMBRの低負荷連続運転を行ない，処理水質の改善を試みた。その結果，容積負荷1.6kg-COD/m~3•dのとき，処理水COD濃度で51mg/l(COD除去率99.7%)， BOD濃度で8mg/lと好気性処理に匹敵する良好な水質を得た。また，実験期間を通じての汚泥発生量は0.017kg-SS/kg-CODであった。このことから，SAMBR処理により，汚泥発生量を抑制しながら水域への直接放流が可能な処理水質を得られる可能性が示唆された。