外装材向けステンレス鋼の概要

摘要

ステンレス鋼が建材に用いられ始めたのは米国では1920〜1930年にかけてであり、日本でも1931年に外壁部にステンレス鋼が使用されている。屋根·外装材としては1960年代より8A仕上げやHL仕上げのステンレス鋼が用いられ、1970年代には塗装ステンレス鋼が開発された。防水工法屋根の開発もあり、このころより屋根材としてのステンレス鋼の需要が拡大していった。屋根·外装材向けステンレス鋼に要求される主な特性は溶接性と孔食等による耐孔あき性であった。意匠用途に対しては塗装ステンレス鋼が用いられてきたが、1980年代になると都市景観やアメニティーの向上のためステンレス鋼板の持つ肌や色調が意匠として認識され、見せる屋根への使用力5広まった。さらにウォーターフロント開発に伴いステンレス鋼に対する要求特性も変化し、孔あき寿命に加えて耐赤さび性が重視される高耐食フェライト系ステンレス鋼が開発された。また、このころより高耐食、高意匠を目的としてステンレス鋼に表面処理を施した屋根材が台頭した。