リノベーションまちづくりの時代

摘要

2013年、日本の総住宅戸数は6,000万戸を超えた。そのうち空き家が820万戸。6,000万戸を超える膨大な数の住宅、これらは全国民といっても良レ、ほどの人々が新築に投資し、全就業者の1割以上の人が属する産業が休む間もなく働き続けてきたからこそできたものである。それでは、何のためにそんなに頑張ってきたのか。もちろん空き家や空きビルを増やすためではない。人々のより豊かな生活の場を実現するためにである。そして、その人々と産業による不断の営為の結果、私たちは十分すぎるほどのストックを得ているのである。だからこそ私は、空き家や空きビルを問題としてではなく、より豊かな生活を展開する場になり得る有り難い資源、「空間資源」と捉える姿勢こそが大切だと思っている。建築空間の量に関する限り、日本は「資源大国」なのである。