(国研）産業技術総合研究所　物理計測標準研究部門　量子電気標準研究グループ

摘要

当研究グループでは，主に直流の電気量に関連した計量 標準の維持管理•供給•研究開発を行っている。直流電気 の分野では，早くから量子力学に基づく普遍性の高い国家 標準が実現されており，直流電圧にはジヨセフソン効果， 直流抵抗には量子ホール効果が用いられてきた（図1)。一 方で近年，家電はもとより，情報端末や自動車などあらゆ る製品が電子化されるなかで，性能向上や品質要求の強ま りにより，高精度な電気計測へのニーズが急増している。 これらの社会的要求に応えるため，従来の国家標準を用い たトレーサビリティ体系の維持だけでなく，二次標準器や 新たな計測手法の開発，次世代の微小電流計測技術に向け た研究などにも，他の研究機関や民間企業と協力しながら 取り組んでいる。本稿では，当グループが管理する国家標準や関連した研究，国際単位系（SI)改定による影響，量子電流標準の研究などについて紹介する。